#CommunicationDesign

Kasuga Village Base Facility
"Katarina" in Hirado City

世界遺産の価値を再構築するコミュニケーションの場

平戸市「かたりな」

人々の記憶の中に脈々と残る信仰の記憶。その貴重な歴史をつなぐことは、とても大きな責任です。私たちは、拠点になる施設の監修とブランドづくり、そしてコミュニケーションを創出する仕組みをデザインしました。
世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産である平戸市春日集落。潜伏期の信徒はこの地で、山岳信仰の場だった付近の安満岳に自らの信仰を重ねていました。美しい棚田が観光客を和ませる場所ですが、観光客が期待する目に見える信仰のカタチはあまり残っていません。しかしここには住民が語り継いできた歴史があります。
私たちは、集落にある古民家を小さな図書館のある情報センターとしてリノベーションし、集落のおばあちゃんたちに語り部として運営をしてもらう仕組みをデザインしました。また施設の愛称を公募し、親しみやすいロゴを制作するなど、多くの人が愛着を持てるブランディングも実行しました。「語りを通じた交流」という施設コンセプトを体現した愛称『かたりな』として平成30年4月1日にオープンしました。
来訪者へお茶や自家製のお漬物でおもてなしをするおばあちゃんたちは、信仰の語り部としてだけでなく、来訪者に思い出を提供してくれています。今では、ゆっくりとこのまちの話をしてくれる、話をきけることが他の施設に例を見ない大きな魅力となりました。
コミュニケーションが生まれる場、そのコミュニケーションを持続する仕組み、そしてそこを担ってくれる人材、これらが整うことで想像以上の大きな価値が生まれること。
コミュニケーションデザインの追求は、地域に未来を作り出す手法です。