福津の「学校」シリーズ
自分が住むまちの本当の姿は、たとえ愛着があっても、意外と知らないものです。自分たちのまちに誇りを持つ、いわゆるシビックプライドの醸成を市民が楽しみながら学べるものとしてデザインしたい。福津の『学校』シリーズは、そんなコンセプトで始まったプロジェクトでした。
私たちがこのイベントで重要視したのはUX(User experience)、ユーザーが得られる体験の創出でした。
まず福津の生産者、魅力をよく知る専門家などから魅力自体を抽出。そこから学ぶ側、イベント参加者が本物の机とイスに座り学ぶ、本物を見る、実物に触る、試食する、検定を受けるなど「体験」を通して本当の魅力に親しんでもらうことをミッションとして実施し、大きな反響を得ました。
初回テーマは、「冬」という季節に着目したもの。冬にとれる豊かな産物やこの季節の楽しみ方を紹介しました。2回目以降は「ベジ(野菜)学校」「ヤマ(福津の山笠)学校」「花学校」というように、学べるテーマをより具体化し、よりわかる学びの「体験」へと展開させていきました。
空間の構成も、私たちだけでなくアーティストやデザイナーが参画し、行政のイベントとしては、あまり例を見ない完成度の高い表現で構成されています。内容そのものも、本物の土(畑)と野菜を持ち込んだり、津屋崎祇園山笠の実物を飾りつけて展示するなど本物にこだわり「みる価値」に大きく重点を置いた取り組みとなりました。
参加された市民も、この体験で自分たちのまちの魅力を知り、学びを深め、まちに誇りを持ったことで将来的にはまちで活躍する存在となって、地域の活気が循環する仕組みが生まれているといえます。