公共施設は本来、市民ニーズに沿った機能を持たせた空間ですが、時代の移り変わりに伴い市民ニーズが変化し、うまく適合できていない例が増えています。こういう場合に、その施設の公的意味を考え直し、仕組みからデザインする必要が生まれています。
私たちのこの分野でのデザインの特徴は、表層的な部分のみをデザインするのではなく、実際に現場での経験を通じて得られる体験を通して、市民ニーズをつかみ、その施設に必要なデザインを生み出すことにあります。
主体として担当している福岡市NPO・ボランティア交流センター「あすみん」は、私たち自身もNPOとして利用者の目線を持ちながら運営を行うことで、多くの公共サービスの仕組みをデザインしています。また、地域交流センターなどでは、「地域」をテーマとした施設管理の職務の中に、新たな職能である「地域相談員」というポジションを設定し、実際に勤務を通じて地域活動のサポートを行っています。
一方、文化施設では「市民とクリエイティブの出会い」をテーマに、あまり触れることがない芸術や演劇ワークショップなどを提供しています。
それら施設ごとの特性合わせて全ての施設で、専門的な情報発信スキルやコミュニケーションスキルを活用した施設の利用向上などもこれからの公共施設の情報提供の形として提示しています。
このように、従来の公共サービスにとらわれずに、柔軟で快適な市民の暮らしの場をデザインすることで、社会の好循環をこれからも進めます。