#パブリックデザイン

共に支え合う新しい地域コミュニティの形

A New Form of Community: Supporting Each Other Together

今の社会では、かつて当たり前だったご近所づきあいのようなつながりが、だんだんと薄れてきています。地域活動や市民活動も、以前のように「当事者だけでなんとかする」というのが難しくなってきました。
地域の担い手は高齢化が進み、人手不足も大きな課題です。それに加え、新しく関わってみたい人がいても、気軽に参加できる仕組みが整っていないのが現状です。このままでは、地域の活動そのものが続かなくなる可能性もあります。こうした社会の変化の中で、大切になってくるのが「コミュニケーションの場」と、それを支える「専門的なスキル」だと私たちは考えています。

私たちは、地域や社会のつながりが希薄になりつつある今だからこそ、そこに関わり、対話が生まれる場をつくり、持続可能なつながりへと育てていくような仕組みのデザインが重要だと考えています。
たとえば、福岡市東区の地域交流センター「コミセンわじろ」では、指定管理者としての立場から地域に関わり、活動の活性化に取り組んでいます。地域文化祭「こみせんまつり」は、その象徴的な例のひとつです。かつて地域のお祭りとして親しまれていたものの、担い手不足で中止になっていたこの祭りを、私たちが事務局として支え直し、今では毎年約4,000人が訪れる大きなイベントとして復活しました。
また、西区にある「さいとぴあ」では、地域の人たちが主役となる2つの企画をサポートしています。
ひとつ目は「いとにぎわい祭り」。九州大学の移転によって新たに生まれた町で、「地域の交流の場をつくりたい」という住民の声から始まったお祭りです。地域の有志が集まり、12年前にスタート。私たちは裏方として事務局業務を担い、今では1万人以上が来場する大きなお祭りに成長しました。
もうひとつが「ぴあマルシェ」という名称の福祉施設が中心となって企画・運営している取り組みです。障がいのある方たちがつくった製品やサービスを発表できる場として、また地域の人たちに福祉について考えるきっかけを届ける場として、毎月開催しています。少しずつ参加団体や来場者が増え、今では6〜7団体が定期的に出店し、福岡市全域から来場者も足を運んでくださるようになりました。
こうした事例が示すように、市民活動は一部の人だけで成り立つものではなく、専門家や企業、行政も共に関わることで、新しいかたちの「地域の自治」が生まれていくと私たちは考えています。
これからも、私たちは、この取り組みを推進し、持続可能で活気ある地域社会に寄与したいと考えています。