#ソーシャルデザイン

市民の愛着や誇りを育てるブランディング

Branding that Fosters Civic Affection and Pride

福岡のまちとともに歩んできた、博多港ポートタワー。
長年、海のある暮らしを象徴する存在として親しまれてきましたが、時代の流れとともに、「海や港と共に生きている」という実感は、少しずつ市民のなかで薄れつつあります。
この事業では、そうした現状をあらためて見つめ直し、市民が港にもっと親しみと誇りを持てるような、新しいきっかけをつくろうとしています。その出発点として、ポートタワーが“まちと港をつなぐシンボル”になれるよう、パートナー企業と共に、ブランディングデザインの第一歩を踏み出しました。
まずは、「市民の本当の声を知ること」を大切にしながら、施設の認知度や来訪理由、広報の届き方、運営の可能性などを多面的に調査。
アンケートだけでは見えにくい想いや日常の感覚を丁寧にすくい上げるため、市民インタビューも行い、日々の生活の中にある“港との距離感”を探りました。
また、調査と並行して、港の魅力をあらためて感じられる「写真展」や、民間事業者と連携した活用実験も実施。
これまであまり行われてこなかったような使い方を試みることで、ポートタワーが持つ“都市的なポテンシャル”に光を当てることができました。
単なるイベントではなく、時代の変化に合わせて公共施設のあり方そのものを問い直す、小さな一歩になったと考えています。
この取り組みは、今後「ブランディングと運営を両立させた計画の策定」(第2フェーズ)へ、さらに「費用対効果を意識したアクションプランの展開」(第3フェーズ)へと進んでいきます。ポートタワーという場の意味や役割を、少しずつ、時代に合わせて育て直していくプロセスが、これからも続いていきます。