#ソーシャルデザイン

らしさからデザインする地域の価値

Designing Regional Value from Local Identity

福岡県京都郡みやこ町は、「暮らすには心地よいけれど、観光地としては少し印象が薄い」──
そんな、全国の多くの地域が抱えるような課題を持っていました。
このプロジェクトでは、イベントや派手なPRに頼るのではなく、みやこ町にしかない「らしさ」や「魅力」を丁寧に見つめなおし、まちの価値そのものを見出していくことを目指しました。
取り組みの出発点は、地域の文化や風景を掘り起こすことから。
長くそこに住む人にとっては当たり前すぎて気づかない魅力も、外から訪れた私たちの目線だからこそ見つけられることがあります。地域を歩き、話を聞き、見えてきた“みやこらしさ”を「人のみやこ」「自然のみやこ」「食のみやこ」という3つのカテゴリーに分けて整理し、まちのアイデンティティとして再編集していきました。
できあがったコンセプトをもとに、町の魅力を伝えるパンフレットやロゴなどのメディアを4か国語で制作し、発信の土台を整えました。さらに、「みやこのもの」という地域ブランドも立ち上げ、今では(一社)みやこ観光まちづくり協会を中心に、その輪が広がっています。
合わせて地域外の人にも「みやこ町って、こんなまちなんだ」と感じてもらえるよう、博多駅での体験型イベントも実施。みやこ町の人たちと一緒に企画を進め、地元の素材やストーリーを活かしたコンテンツを発信したことで、まちの魅力を多くの人に体感してもらうことができました。
このプロジェクトでは、当初から「DMO(観光地域づくり法人)」の視点を取り入れています。
当時はまだ珍しかったこの考え方も、みやこ町のような地域だからこそ必要だと考え、町の皆さんと一体となって進めてきました。今では、この取り組みが他地域の参考になるような、ひとつのローカルモデルになってきていると感じています。