地域観光による活性化を目的に、福岡県北部沿岸部に位置する3市3町(宗像市・福津市・古賀市・新宮町・岡垣町・芦屋町)の民間事業者が連携し、「筑前七浦(ちくぜんななうら)」という広域連携団体が設立されました。行政区域の枠組みにとらわれず、地域全体を一つの観光圏として捉え、資源の再発見と価値の再構築を通じて、持続可能な地域ブランドの形成を目指す取り組みです。
この事業では、この沿岸地域ならではの豊かな海産物、歴史文化、自然環境といった地域資源を多面的に編集・活用し、食フェア、体験プログラム、物販、情報発信など多角的な展開を通じて、観光客と地域住民の双方に向けた新たな価値創出に取り組んでいます。
私たちはこのプロジェクトにおいて、ビジュアルアイデンティティの開発をはじめ、広報メディアの制作、体験イベントの企画、地域特産品を活かした商品開発など、総合的なクリエイティブ支援を担っています。特に、家紋をモチーフとしたロゴマークは、地域に根差す一体感や伝統文化の奥行きを表現し、観光客・住民双方にとって親しみやすいシンボルとして定着しています。
また、新たに開発された地域ブランドである天然とらふく、あなご、甘鯛などを用いた特産品のシリーズでは、それぞれの特徴を簡潔かつ魅力的に伝えるためのイラストマークも制作。中でも、全国有数の水揚げ量を誇る“あなご”に焦点を当てたキャンペーン「宗像あなごちゃん祭り」のロゴは、世界遺産をのキャンペーンとして開発されたポテトチップスのパッケージに採用されるなど、大きな話題を呼びました。
このような取り組みは、地域住民と外部のクリエイターが連携し、それぞれの知見と感性を持ち寄りながら、地域固有の価値を丁寧に可視化していくプロセスそのものが成果であると考えています。私たちは今後も、各地の課題や可能性に寄り添いながら、その地域らしい魅力をかたちにする活動を継続してまいります。