世界遺産の価値や魅力、信仰の姿を伝え広げる
Communicating the Value, Appeal, and Spiritual Significance of the World Heritage Site
福岡県に2件あるユネスコ登録の世界遺産のうちの1つ「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群。そのPRやファンづくり、来訪者の拡大に向けた一連の取り組みです。2023年に初開催された、世界遺産 沖ノ島検定「上級検定」は、「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群保存活用協議会が主催し、本遺産群の価値や魅力を全国に伝え、保存活用に賛同・参加していただくきっかけづくりを目指す高難易度の検定です。私たちは、ロゴマークやツール、PRメディアなどのトータルデザインを手がけ、この高いハードルを超えた証として相応しい「芯の強さ」をもった価値のデザインを目指しました。
また、2024年度からは文化庁「全国各地の魅力的な文化財活用推進事業」の一環として、本遺産群が持つ本質的な価値を、インバウンド旅行者に向けて提供する情報やコンテンツのデザインを担当しました。内容の検討のために調査やワークショップ、モニターツアーなどを行っています。
この世界遺産の中核となる沖ノ島は、一般の方は上陸することができず直接実感しにくいという背景を持っています。そのため他の世界遺産観光地とは異なるアプローチが必要となり、私たちは上陸できないからこその神聖性、今なお続く住民たちの信仰という文化的な奥行きを軸に、この世界遺産の価値をいかに「体験」してもらうかに着目してデザインを進めました。開発したモニターツアーは、観光によって地域や環境を保ちながら、旅行者と地域が共に潤う「サスティナブルツーリズム」をコンセプトとし、宗像大社の境内や大島の海岸の清掃、未利用魚や規格外野菜を使ったコース料理などを交えた「命の価値」をテーマとしたオリジナリティの高いものとなりました。
今後も、引き続きインバウンドのみなさんに、当世界遺産の価値を理解し、訪問してもらうべく、地元のみなさんと協力しながら、広報展開や仕組みのデザインを進めます。