#コミュニケーションデザイン

四万十川の景観が持つ価値を、内と外に伝えるデザイン

Design that Communicates the Scenic Value of the Shimanto River, Both Locally and Beyond

四万十川は「日本最後の清流」として知られ、高知県を流れる196kmの四国最大の河川です。2009年、四万十川流域の5市町(津野町、梼原町、中土佐町、四万十町、四万十市)の景観は、「四万十川流域の文化的景観」として重要文化的景観に選定されています。上流・中流・下流と、地形や気候に応じた土地の使い方や川との固有の関わり方に、特徴的な景観を形成し、四万十川流域全体で大きな価値を有しています。
しかし選定から15年を迎えた「四万十川流域の文化的景観」の認知度は、地域住民にとっても、観光客にとってもまだ高いとは言えず、その意義や価値もあまり実感されていないという課題があります。私たちは、この価値を観光的側面で地域外に伝えるデザインと、地域内にこの文化を守る意義を伝えるデザインを実施してきました。
まず四万十市において、観光案内サインのデザインや、現地到着後に活用できるパンフレットを発行するなど、新たな情報発信・広報戦略を展開しました。その後、エリアを広げ5市町の流域連携として、四万十川を一体として見た時の魅力や上流と下流との違いなどを楽しめる要素を伝え、文化的景観の価値に触れてもらう2種類のマップをデザインしました。
そして、住民に向けた文化的景観の情報発信・普及啓発事業として、四万十川の固有の価値を改めて整理・認定し、市民へと周知を広げていく仕組み「サスティナブルシマント」の開発や、文化的景観を知り、体感してもらうワークショップの企画運営。これまで実は断片的にしか作られていなかった、文化的景観の魅力を伝えるパンフレットとポスター群のデザインなど、内と外に向けて、この価値を十分に伝えていく準備を行政との共働で推進してきました。