「ミニふくおか」は、子どもたち自身が住民となって、仮想のまちをつくり、運営していく体験型プログラムです。ドイツ・ミュンヘン市で生まれた「ミニ・ミュンヘン」に着想を得て、福岡のまちを舞台に、子どもたちが主体となって展開されています。
私たちは2019年からこの取り組みに関わり始めました。それまでは、子どもたちの自主性を大切にしたイベントとして運営されていましたが、そこに「まちづくり教育」や「アートとの出会い」といった新しい視点を加え、プログラムの再構成をお手伝いしました。
その後はディレクターとして、全体のブランディングやスポンサー獲得の仕組みづくりにも取り組み、より社会とつながる機能を少しずつ整えてきました。コロナ禍で開催が制限されていた期間は、事務局として小規模なワークショップを通じて、少人数でもできる“まちづくりの対話”の場を支えてきました。
そして再び子どもたちのにぎやかな声が戻ってきたあとは、より教育的な要素を取り入れた「クエストカード」というプログラムをデザインしました。
これは「自治」「福祉」「創造」「協働」「継続」という5つのテーマで構成されたお題に挑戦し、達成するごとにポイントを獲得できるというゲーム感覚の仕組みです。自分のチャレンジがまち全体の“幸せ係数”を高めるというルールによって、子どもたちは「自分の行動がまちを動かす」ことを自然と体感できます。
一人ひとりの成長と、その積み重ねによって生まれる“まちの変化”。
私たちは、2024年で運営から距離を置きましたが、「ミニふくおか」は、楽しみながら学び、つながりながら気づきを得る、子どもたちにとっての“もうひとつのまち”として機能すること望んでいます。