#ソーシャルデザイン

市民がウェルビーイングを実感できる仕組みのデザイン

Designing Systems that Enable Citizens to Experience Well-being

福岡県福津市は、豊かな自然や歴史・文化と、都市的な暮らしやすさがちょうどよく調和したまちです。市民の暮らしやすさは全国的にも評価が高く、毎年のランキングでも上位に入っています。2019年には、内閣府による「SDGs未来都市」にも選ばれ、市民活動とのつながりを生かしながら、「ウェルビーイングのあるまちづくり」を目指す取り組みが本格的にスタートしました。

この事業では、地域で活動する市民や団体への丁寧なヒアリングを重ねながら、新しいまちの拠点となる「福津市未来共創センター(愛称:キッカケラボ)」の機能や役割を、一緒に考え、かたちにしていきました。
センターの開設をきっかけに、NPOだけでなく、企業や学生、市外の人たちも関わりやすいプログラムを整え、「社会の課題に関わってみたい」という想いを持った人たちの一歩目を後押ししています。
また、活動をつなげていく存在として「コネクター」というスタッフを配置し、担い手同士の連携や協働をサポートしながら、まち全体に広がるような動きづくりを進めています。

キッカケラボでは、さまざまな講座や体験プログラムが行われています。たとえば、市民活動の実践者を育てる講座や、団体の活動に1日だけ参加できるボランティア体験、地域の課題をテーマにしたネットワークづくりなど、名前の通り「きっかけ」に出会える場として、多くの入口が用意されています。

そして2024年からは、「ふくつウェルビーイング大賞」という新たな取り組みもスタートしました。市民活動とウェルビーイングの関係性を9つの視点からとらえた独自の評価軸をもとに、20以上の活動の中から、市民賞や企業賞などが選ばれました。この取り組みは、広報やメディアを通じて多くの人に届けられ、企業の参画も進むなど、まち全体で活動の価値を見つめ直すきっかけにもなっています。

このように、デザインの力でまちの新しいあり方をかたちにし、市民一人ひとりの“関わる”気持ちを大切に育てていく──
この取り組みは、そんな実践のひとつとして、福津から始まっています。