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ふくおかメイドプロジェクト

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vol.12「八女提灯」

09.5.10





















12 八女提灯(やめちょうちん)

伝統が生んだ技の逸品

福岡県南部の八女地域には、多くの工芸品を生み出す伝統文化とそれを支える風土や自然の恵みがあふれています。今回は、それらの豊かな素材のもとに誕生した「技の逸品」を紹介する県産品ノートです。
「八女提灯」は、江戸時代、文化年間(1813年)頃に福島町で生まれた素朴な「場提灯」に始まり、安政年間(1854?59)には吉永太平により一条螺旋の製法、薄い手漉き和紙の導入などとその基礎が築かれます。その後も、多くの先達・名匠たちの手によって明治・大正・昭和と進化を続け、現在では、八女のお盆や祭の風物詩であるだけでなく、全国有数の生産数を誇る伝統工芸品としてその名を知られます。
「八女提灯」のフォルムはさまざまで、地元に伝統的に伝わる長い筒の形をした「住吉」や、吊り提灯「御殿丸」などがありますが、現在では「行灯」が最も一般的なもの。台の部分にも黒柿、楓、欅、桐など、さまざまな素材が使用され、高級なものには本漆・本金蒔絵などの細工が施されています。また、丸い火袋も絵付けをしたものを内と外の二重にするなど、風流を楽しむ『粋』も感じさせています。
八女では、祭提灯や神社用の提灯なども生産していますが、その生産の8割は盆用のもので、毎年6?7月は作業もピークを迎えます。
提灯制作の主な工程について、順をおって説明すると、竹ひごを螺旋状に巻いていく「ひご巻き」、絹や紙を張る「張り付け」、火袋に直接描く「絵付け」などがあげられます。
中でも、「張り付け」は、伝統的な「手漉き和紙」から、20年前頃には「絹」が主流に。絹同士の継ぎ目が不自然にならないように剃刀などで裁断する作業、そしてその絹の上にゼラチンとミョウバンを絶妙な割合で調合した「ドウサ」を塗る作業は非常に難しく、熟練と繊細さを必要とするそうです。「絵付け」の作業も、八女ならではの独特なもの。生産性を向上させるため、明治以降に吉永太平の弟・伊平による「速画」の技法が広まりますが、この技法は、山水や草木・花鳥などをモチーフに、火袋に下絵無しで筆を入れことで時間の短縮とダイナミズムを感じる絵柄を実現させています。絵師は、既に頭の中に入れた絵の構図を元に、一度に10以上の火袋に絵付けをおこないます。故人や先祖を偲び敬う心を込める盆提灯ですから、速さにこだわりながらも細かく一つ一つに筆を入れる。筑後の職人の心意気が、その絵の中にも息づいています。

取材協力: 八女提灯伝統工芸士会 会長 樋口万亀


行灯(あんどん)
楓(かえで)
欅(けやき)
速画(そくびょう)

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