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ふくおかメイドプロジェクト

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vol.50「くろがね堅パン」

10.8.15













50 くろがね堅パン

鉄のような堅さの栄養食
 「くろがね堅パン」は、北九州市民なら誰もが知っている歴史ある食品です。素朴で上品な甘さがあり、子どもから高齢者まで広く人気がありますが、その生い立ちや歴史から『お菓子』とは呼びにくく、ここでは『食品』と表記しておきます。
 製造が開始された詳しい年月日は、記録として残っていないそうですが、1920年頃(大正時代)、官営八幡製鐵所が精米工場を建設したときに、精米の過程ででる胚芽を試験的に焼いたのが始まりだといわれています。その後、小麦粉に砂糖や練乳などを加え、栄養価をより高くと工夫され、現在のものに至ります。開発された目的は、数万人・数十万人と言われる製鐵所従業員たちのカロリー補給。過酷な労働環境や当時の栄養事情もあり、八幡製鉄所内の購買部で売られていたのが、そもそもの姿です。ほぼ同時期に開発された「くろがね羊かん」とあわせて、今で言うクッキーやチョコバーのように工員たちが携帯していたそうです。作業の合間に簡単に食べられる栄養補助食品といったところでしょうか。
 菓子メーカーが作っているものではないということが、この堅パンにもう一つの大きな特徴を生み出します。パッケージにも「健康はアゴから」と書いてあるように、これがとにかく堅いんです。「大量に作って保存できるようにと、水分を極端にカットしたら、鉄のように堅いものができたんです。」とは、製鐵所の購買会としてスタートした株式会社スピナで堅パン課のマネージャーをつとめる永末さん。今では、その堅さが健康にいいと、再び注目を集めているそうで、乳幼児のアゴの発育や歯固めを促す効果から、給食に取り入れている幼稚園もあるそうです。
 製鐵所のOBからの要望も多く、戦後になって一般にも販売されるようになった「くろがね堅パン」。長距離ドライブの眠気ざましや腹持ち、災害に備えた保存食、登山やハイキングのお供にと、特長を活かした用途は幅広いものです。
 大正末期の製造以来、実に80年以上にわたって変わらぬ製法と味、そして堅さ。伝統を忠実に守り継いでいるからこそ、北九州・八幡の人々それぞれが工夫し、自らの生活の中に取り込んで愛用しています。


取材協力: 株式会社スピナ 093-681-7350

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