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ふくおかメイドプロジェクト

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vol.24「八朔の馬」

09.9.13



























24 八朔の馬

次世代の健勝を願う、素朴な贈り物

季節も実りの時期をむかえ、福岡県内でも各地域で豊作を祝うお祭りでにぎわい始めます。今回の「県産品ノート」は、福岡県知事の指定特産工芸品にも選ばれている古くからの伝統を紹介します。福岡県遠賀郡芦屋町では、旧暦の8月1日を「八朔(はっさく)」の節句として、男の初子の誕生の祝いに、地元の藁(わら)を束ねて作った馬を作って飾り、近隣の住民に配るしきたりがあります。三百数十年以上の歴史を持つこの行事は、現在も新暦9月2日早朝に行われ、馬の背中には山鹿秀遠や黒田長政などの名高い名武将を乗せています。「元気で勇壮に育つように」という思いが込められたものとして、今も地域の人々に愛され続けています。
馬を作るようになった由来には、いくつかの説があります。天皇家や貴族の荘園がこの地域にあり、そこから馬を献上していたことが由来だという説、また大勢の武士や馬が通る壮観な大名行列を地元の人々が見たことが契機だという説などです。近隣に配らず家に残す『大将馬』の存在も、そういった歴史を感じさせます。いずれにせよ日本で「馬」は、人々の生活を支えるだけでなく、豊かさや強さ、勇壮さの象徴として大切に扱われてきたもので、「八朔の馬」は、その雰囲気を今の時代に伝えてくれます。
稲刈りの季節の終わりは、八朔の馬の原料となる藁(わら)を調達するシーズンです。泥などを落とし陰干しで2週間かけて乾燥させ、一年分の材料を収納しますが、現在ではその確保も難しくなっています。馬を作る作業は、まず藁を濡らし、木の台で叩いて柔らかくし、それから編み込み、形を作ります。高さが25cm程度の馬ならば、武将の紙人形や旗などで飾り付けるまで約20分程度で完成します。「昔は芦屋の人ならだれでもできたんです。でも今では作る人も少なくなりましたね(井上工房 井上さん)」
井上さんは30年ほど前から八朔の馬の製作に携わっています。文化を絶やしてはいけないという思いからだったそうですが、現在では希望者だけでなく、中学生などにも制作の指導をしています。また地元でも教育委員会や商店街のまちおこしイベントで数百の馬が並ぶなど、復興の動きもあります。「自分で習いに来てひとつだけ作る人もいる。昔ながらでも今の形でも、どんな形でもいい。節句で子どもの誕生を祝う心があるならば、それでいいんですよね(井上さん)。」

取材協力:井上工房 井上和代

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